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【連載】CS向上を科学する

2015年11月5日

【CS向上を科学する:第18回】CS向上の努力の方向を切り替える(1/2)




松井サービスコンサルティング
代表/
サービス改革コンサルタント
松井 拓己


「顧客満足が向上したのに売上やリピートが増えない」という壁にぶつかることは少なくありません。この壁にぶつかったCS向上活動をひも解いてみると、努力の方向に問題があるケースがあります。CS向上を成果に繋げるためには、努力の方向を切り替える必要があるかもしれません。
本連載ではこれまで、目に見えないサービスや顧客満足を少しロジカルに捉えることで、成果を出すための努力のポイントや、取り組みの盲点を明らかにしてきました。今回はそれらを踏まえて、本気になって顧客満足向上を経営貢献に繋げるための努力の方向について、整理してみたいと思います。

CS向上の努力の方向性とは

CS向上に熱心な企業では、実に様々な取り組みがされています。

例えば、年に数回、顧客満足度調査を実施し、お客様から頂いた声をサービス改善に活用しています。また、現場の優秀事例を社内で共有したり、年に何度かのCS総会で表彰しています。一例を挙げると、「お客様からのクレーム数が劇的に減った」「サービス品質のバラつきがなくなった」「納期遵守率が大幅に改善された」「ミスが減った」など。その結果、お褒めの言葉をいただいたり、顧客満足度が向上した、という具合です。

また、日頃から現場のサービスレベルを評価したり、サービスの改善に取り組んでいる企業もあります。例えばミステリーショッパーやミステリーコールを活用して、現場のサービスの実体をスコア化して評価したり、小集団活動を通してサービスの改善提案を現場から募ったりと、日常的にサービスの改善を意識しています。

これらの取り組みで努力しているのは、まだまだ「失点をなくすための努力」が多いようです。少し思い返してみてください。
例えば社内の優秀事例として評価されているもののほとんどが、失点をなくした事例ではないでしょうか?
ミステリーショッパーなどで活用しているサービス現場のチェックリストのほとんどの項目が「失点していないことのチェック」になっていないでしょう?
社内で活用しているマニュアルや、人材育成のための研修は、失点しないためのものばかりになっていないでしょうか?

もちろん、「失点をなくす」ための努力はとても大切です。クレームが頻発している状況では、失点をなくす努力なしにサービス事業の存続はないと言えます。ある意味で、CS向上の取り組みの第一歩は、失点をなくす努力から始まると言えます。

しかしお客様にしてみれば、いくら失点をなくす努力をしても、「そんなことは当たり前でしょ」と言いたくなってしまいます。今の時代、失点をなくす努力だけではお客様は喜んでくれないのです。このことから分かるように、CS向上の取り組みとして、失点をなくす努力ばかりに専念するのは得策ではないのです。つまり、失点をなくす努力だけでは、CS向上の取り組みを売上向上やリピートオーダー獲得などの経営貢献に繋げることが難しい時代になったのです。

ではどうするべきか?

「得点を増やす」という方向にCS向上活動の舵を切る

以前の記事「CS向上を科学する第4回“リピートに繋がるCS向上とは”」で、こんなデータをご紹介しました。顧客満足度とリピートオーダーの可能性の相関を分析したところ、お客様にリピートしていただくためには「大満足あるのみ」だということが分かりました。「やや満足」と答えたお客様の実に97%がリピートしない可能性があるというものです。つまり、いくら不満を解消するための努力(失点をしないための努力)を積み重ねても、お客様に「大満足」していただくための努力(得点を増やすための努力)をしなければ、リピートオーダーは増えないのです。このことからも、これからのCS向上活動は得点を増やす方向に舵を切るべきだと分かります。

顧客満足度向上の2つの方向

「得点を増やすための努力をすべき」。言われてみれば当たり前に思うかもしれませんが、これがなかなかできないことが実に多いのです。そこで次回は、得点型のCS向上を行うためのポイントを明らかにしてみたいと思います。
 

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<筆者プロフィール>
 


 松井 拓己 (Takumi Matsui)  
 松井サービスコンサルティング  
 代表
 サービス改革コンサルタント/サービスサイエンティスト

サービス改革を専門として、サービスサイエンスに基づいたサービス改革やCS向上の支援や研修を行っており、これまでに業種・業界問わず数々の企業の支援実績を有している。
大手製造業で商品開発に従事し、同時に事業開発プロジェクトリーダーを務める。その後、平均62歳、150名のシニアコンサルタントが集うワクコンサルティング(株)の副社長として事業運営に携わると共に、サービスサイエンスチームリーダーを務める。現在は独立して、サービスサイエンスの考え方を活かして、サービス改革やCS向上を支援している。

 ▼ホームページURL/サービスサイエンスのご紹介
 http://www.service-kaikaku.jp/