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【連載】サービス産業の業務仕組み化

2022年10月28日

【第10回】業務基準書作成の事例~コープさっぽろ編~ 後編

 
業務基準書導入後の効果
 
  1. 「仕事改革発表会」との相互作用
    業務改善スピードアップの大きな要因の1つとなっているのが、年に14,5回、250人前後が現場の改善事例を発表する「仕事改革発表会」であり、ここで業務基準書がベースの役割を果たしています。また、発表される260〜300ほどの改善事例は業務基準書更新の際の参考にされます。さらに、発表会は年間を通して行われるため定期的に業務基準書に触れることで現場のマネージャーの理解が深まります。
  2. 3分ショート動画の浸透
    文が多くて読みづらい紙の業務基準書やデータの業務基準書の場合、見なくても仕事ができるベテランにはスルーされてしまい、その結果、属人性が強くなるという問題点がありました。そこで、業務基準書をベースとした3分ほどのショート動画の視聴をルール化し、全ての従業員が見るようになったことで、業務基準書を見ないまま間違ったやり方をしている従業員が減り、現場でも大変好評とのことです。
  3. 現場の生産性の向上、人件費の削減、モチベーションの向上
    動画の運用によって従業員のスキルがアップしたことで生産性が上がり、さらに担務がマルチタスク型になったことで、人件費を抑制する効果が期待できます。また、トレーナーは教える工程が省けるのでフィードバックに重きを置くことができ、教育の効果が長続きしてモチベーションが上がるサイクルが生まれています。先述したタスクチームのメンバーについても、業務基準書作成にあたることで勉強の機会が増えモチベーションが向上した結果、60名以上の卒業生がいますが離職率が非常に低いそうです。
  4. スキルの見える化
    動画はシステム上にアップされ、個人と紐づけて動画を視聴したかどうかや達成度をチェックする項目を設けているため、スキルの見える化に繋がっています。評価の基準が明確になったことで、パートの方の評価や時給の判断にも役立っています。
 
業務基準書だけで完結しない改善の仕組み

 コープさっぽろ様は、インタビューにて業務基準書の導入について「スキルアップの基準になった」とおっしゃいました。同時に、業務基準書は「あるべき姿」であり「現時点でのベスト」と表現されています。まずは3分間のショート動画で全従業員に標準の作業を身につけてもらった上で、年間を通して行われる「仕事改革発表会」で改善事例を発表する機会を与え、それをもとに業務基準書もパワーアップさせます。さらに、全職員にIE/QCの教育を行き渡らせる取り組みなど、業務基準書だけで完結しない改善の仕組みこそが、職員のモチベーションを保ちながらさらなるスキルアップを生み出しているコープさっぽろ様の成長の秘訣であると実感いたしました。