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【連載】サービス産業の業務仕組み化

2022年11月11日

【第11回】業務基準書作成の事例~サッポロドラッグストアー編~ 前編

 業務基準書作成の事例~サッポロドラッグストアー編~

 前回は、生活協同組合コープさっぽろ様にインタビューさせていただいた内容を元に、「業務基準書作成の事例編」をお伝えしました。本稿では、サッポロドラッグストアー様にインタビューさせて頂いた内容を元に、「業務基準書作成の事例編 2」をお伝えしていきます。

 

ご回答者:(株)サッポロドラッグストアー マネジメントサービス本部 
業務基準書推進担当リーダー 上見 渉(取材時点)

 

 
業務基準書を導入する背景・きっかけ
 サッポロドラッグストアー様には、以前より業務概要を記した「業務マニュアル」、作業手順の詳細を記した「作業マニュアル」が存在していたようですが、下記の問題点により定着しなかったそうです。
 
【問題点】
・「業務マニュアル」には業務の種類と方法は記載されているが、作業手順が不明確だった
・「作業マニュアル」リリース後、「業務マニュアル」の更新作業が追いつかなかった
・「作業マニュアル」の内容が細かく、1作業ごとのページ数が多くなり、作業の全体像を理解するのが難しかった
 
 その他にも、新規サービス、新規システム導入の際に「〇〇マニュアル」「××ガイド」「△△ルールブック」などの複数のマニュアルを配布しましたが、内容や構成が統一されておらず、「探しづらい」「使いづらい」状態となり、店舗ごとの教育や成果にばらつきが出ていたそうです。
 サッポロドラッグストアー様はチェーンストアとして多店舗型モデルを作り上げるという目標を定めていました。そのためには、店舗業務の標準化とそれに伴った教育が必要不可欠です。そこで、松井忠三氏の著書『良品計画は、仕組みが9割』に感銘を受けた富山社長(当時 常務取締役営業本部長)が号令をかけ、良品計画のムジグラムをモデルに現在の業務基準書「サツドラウェイブック」を完成させたという流れになります。
 

※ムジグラム(MUJIGRAM)とは、2,000ページに渡って無印良品の店舗に関するあらゆる業務のやり方を詳細に記載したマニュアルのこと。38億円の大赤字からV字回復を達成した優れたマニュアル。

 
業務基準書完成までの流れ
2014年3月―――良品計画を訪問。その後、サービス産業生産性協議会/仕組み化研究会と情報交換を重ねながら、業務基準書への取り組みを開始
2015年3月―――第1弾として、新人教育の項目が多い4冊を先行リリース
2016年1月―――第2弾・第3弾をリリース後、計17冊のOTC店舗の業務基準書「サツドラウェイブック」が完成
(当時1,367ページ 410項目 → 現在2,061ページ 446項目)
2017年5月―――「冊子(紙)」から「デジタル」に移行。本部用の業務基準書「本部で働くにあたって」をリリース
2020年7月―――調剤店舗の業務基準書「調剤で働くにあたって」をリリース
 
業務基準書の作成方法
 サッポロドラッグストアー様は業務基準書の作成方法を下記のように設定しています。
 
作成者
業務基準書推進チーム(当初4名、現在3名)
業務基準書の規模
3,080ページ 696項目(2021年9月現在)
※OTC、本部、調剤合計
更新のタイミング
完成後即時更新(月平均27項目、200ページ分)
更新内容
「サツドラポスト※」や各部署からの改訂提案を基に内容を決定
※「サツドラポスト」とは、良品計画の「顧客視点シート」を参考に作成した全従業員が気軽に業務改善の提案ができるようにしたツールのこと。提案内容に対して本部が検討し、回答や改善に繋げていく。内容は、全従業員が閲覧することが可能。
更新方法
クラウド上のデータを更新
※一部、災害時など緊急対応に関わる項目は、紙(冊子)で更新
 
業務基準書推進の秘訣、工夫しているところ
 
  1. 現場の積極的関与
    導入当時、業務基準書のたたき台を作成したのは、本部である業務基準書推進チームではなく、現場の店長やブロックマネジャーなどの有志たちです。その結果、本部が作成したものをそのまま受け入れるのとは異なり、「自分たちで作成している」という実感があるため現場のモチベーションが高まります。業務基準書を実際に使用する従業員たちも「現場の仲間が作ったならば使ってみよう」という意識が芽生えやすくなり、業務基準書に対するハードルが下がります。
  2. チェック業務の強化
    本部である業務基準書推進チームは、上記のたたき台をそのまま掲載するのではなく「この手順でいいのか」「もっといい方法はないのか」「実際にできるルールなのか」「矛盾点はないのか」など厳しくチェックを行い、各担当部署と何度も討議を重ねた上で掲載内容を決定しています。
  3. 定期的に更新する
    リリース時、業務基準書の更新頻度は3ヶ月に1回でしたが、現在は完成後即時更新となっています。リリース後5年間で改訂したページ数は6,093ページにも及び、これは、1ページあたり既に2回改訂している計算になります。定期的に更新し続けることで、以前のようにマニュアルが陳腐化することを防ぎます。
  4. 最初から完璧を求めない
    業務基準書はリリース時の完成度を7割とし、残りの3割はリリース後にブラッシュアップする方法を取っています。現場で実際に業務基準書を使ってみた従業員から様々な意見を出してもらうことで、「業務改善書を一緒に育てていく」というイメージを持たせることができます。
  5. 業務基準書のデジタル化
    紙の業務基準書が2年かけて社内に定着した2017年5月、業務基準書は遂にデジタルブックになります。紙の場合と比較して、コスト削減だけでなく「キーワード検索で探しやすい」「17冊分をiPad1台で閲覧できる」「リンク機能により参照先がすぐに閲覧できる」「画像・動画コンテンツが埋め込まれており理解しやすい」「素早く更新ができる」などのメリットが生まれ、運用に役立っています。