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【連載】サービス産業の業務仕組み化

2022年9月9日

【第7回】業務のやり方に白黒つける 前編

 

業務のやり方に白黒つける
 
前回は「業務基準書作成の骨格作り」についてお伝えしました。本稿では「業務基準書作成の骨格である業務SOAと作業SOA の評価と記述」についてお伝えしていきます。
 
仕事のやり方に白黒つける SOC
 小売・サービス業の業務基準書(マニュアル)の作成で最も難しい点 は、業務のやり方を統一するところにあります。その理由は、店舗によって運営条件が変わる、個人の経験に依存するからです。
 店舗によって、レイアウトや面積、品ぞろえが異なるため、仕事のやり方を統一すると生産性が落ちる店舗が出てきます。さらに、接客や応対などは、個人の過去の経験が仕事のやり方に大きく反映されます。時間がかかっても、よい接客をして褒められれば、それが成功体験となり、同じような接客を繰り返します。そして、その体験に基づく仕事のやり方を後輩に教えていくのです。一方、時間をかけて丁寧に接客をしても、顧客から指摘を受けたり、上司から叱られたりすると、それがきっかけでスピード重視の接客になるのです。これは現場だけでなく、指導する側も同じです。そのため、運営部長が変わるたびに業務のやり方が変わるということが起こるのです。
さらに、製造業のように、決められた作業手順で行っていなくても、作業スピードの低下やクレームの発生などがすぐにわかるわけではないので、皆が合意できる作業のやり方を設定するのは難しいのです。そのために行うのが、経営理念・経営戦略・SOC(サービス・オペレーション・クライテリア)による業務評価です。
SOCとは業務を評価するための軸のことです。「効率・ムダ」「丁寧・気配り」「費用」「スピード・タイミング」「安全・安定」「意欲」の6つの軸で仕事のやり方を評価していきます。
 
図表.1 SOC

 

 
SOCによる業務評価の進め方
 前述のとおり、小売・サービス業の仕事には正解がありません。そのため、業務評価で重要なのは納得感です。納得しないと実行されないからです。納得するためには、お互いの成功体験を持ち寄り、対話することが必要です。対話するときに必要なのが、業務基準書の骨格として作成したSOA(サービス・オペレーション・アナリシス)です。作成した作業SOAをホワイトボードに貼り付け、議論をしていきます。
 まず作業SOAの順番を、経営理念・経営戦略・SOCの軸で検証していきます。「効率・ムダ」の視点で問題はないか、「丁寧・気配り」で問題はないかといった具合です。ある書店では、どの書籍を先に出すかで議論になりました。その書店では、書籍が届くと、作業しやすい順に売場に並べていました。結果として、当日発売の雑誌を並べるのが遅くなっていました。その書店の方針は「リアルの書店での価値の提供」でした。リアルの書店の価値について考えると、雑誌は開店と同時に並べてあるのがよいのではないかという結論に達しました。そして、作業効率は落ちますが、雑誌を先に並べてから、その他の書籍を陳列することにしました。
 作業の順番が決まったら、作業SOAを一つ一つ確認し、内容に合意していきます。
 もっとも 、作業SOAで業務を見える化して対話を行っても、必ず合意できるとは限りません。意見が割れることはよくあります。特に対立しやすいのは、速い作業と丁寧な作業です。その場合は、現場の実作業を撮影した動画を見て判断するのがよいでしょう。動画だと、たとえ自分が作業していたとしても、客観視できるので、冷静に評価できるからです。事実をもとに議論すれば、統一することができるのです。ただ、動画で2つの作業を見比べても、あまり大差がないということも多いでしょう。 もし一つのやり方に合意できず、統一できない場合でも、仮でよいので統一し、のちに不具合が出たら変更するとよいでしょう。