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【連載】CS向上を科学する

2023年5月15日

【CS向上を科学する:第115回】探索型サービスモデルへの変革~提案型から脱却して顧客のパートナーになる~

 


 

松井サービスコンサルティング  
代表/
サービス改革コンサルタント  
松井 拓己  

 

 

「探索型って何ですか?」前回のコラムで、エアークローゼット(第4回日本サービス大賞 内閣総理大臣賞受賞)のサービスモデルを取り上げさせて頂いたのですが、それを読んで「探索型」が気になった方が多かったようです。顧客が欲しいものが分からない時代だからこそ、提案型ではなく探索型のサービスモデルであることが価値になるという考え方に、可能性を感じたとのお言葉もいただきました。そこで今回は、もう少し具体的に「探索型」について考えたいと思います。

 

なぜ「探索型」なのか

実は探索型については、当コラムの連載が始まった頃に一度取り上げているのですが、改めて簡単に解説します。

 

かつて、日本にモノが足りなかった時代から、経済が成長して市場にモノが充足するようになるにつれて、顧客のニーズが多様化していきました。このニーズの変化に合わせて、企業では、注文通りにモノやサービスを届ける「受身型」から脱却して、顧客の多様なニーズに合わせてどんどん新しい提案をしていこうという機運が高まります。この「提案型」のビジネススタイルで成長してきた企業は多いことと思います。しかし最近、提案型の企業は空振り続きで苦戦しています。今はモノも情報もサービスも溢れていて、顧客自身が自分のニーズが分からなくなっている時代です。自分のニーズが分からない顧客に対して、一方的に提案をぶつけたところで、提案が受け入れられないのは当然の結果です。そこで「探索型」への変革が必要となったというわけです。顧客が抱えている問題や真のニーズを探し出すところからご一緒する“探索パートナー”に選ばれることができるかどうか。これが、事業の成長力や競争力を大きく左右するようになったのです。

 

探索型って、たとえばこんな事例

前回取り上げたエアークローゼットでは、顧客のスタイリングカルテを基に、顧客に合ったファッションの提案と、それに対する顧客からのフィードバックを積み上げていくことで、顧客に合ったファッションを一緒に探索したり、新しいファッションと出会う体験そのものを探索する、まさに探索型のサービスモデルでした。(詳しくはこちら:第114回 体験価値が色あせないサービスデザイン ~スタイリストが提案する月額制ファッションレンタルサービス「airCloset」株式会社エアークローゼット(第4回日本サービス大賞 内閣総理大臣賞)~

他にも、第1回日本サービス大賞の地方創生大臣賞を受賞したフォレストコーポレーションでは、自分の家に使う木を、家族で山に入って選んで伐るところから始まる「お客様参加型の家づくりサービス」を展開しています。この家づくりのプロセスを通して、家族の在り方を見つめ直す探索型のサービスモデルになっているのですが、最近同社では、家づくりを始める前の最初の顧客接点(住宅展示場でのお客様対応)からも、探索型のスタイルを構築しています。たとえば、住宅展示場では競合他社が顧客に積極的に提案活動を繰り広げています。そんな中でフォレストコーポレーションは、あえて提案しない展示場案内で、顧客の本当の思いやこだわりを一緒に探索するサービスモデルを設計して実践しています。その結果、提案しない探索型のご案内の方が、実際にフォレストコーポレーションを選んでくださる顧客が非常に多いようです。
詳しくはこちら:第35回 事例に学ぶ優れたサービスのポイント:「家づくりを物語に:フォレストコーポレーション」その1

他にも、たとえば空港では航空会社各社で、カウンターの外に出て、空港で困っていそうな顧客などを見つけてこちらからお声がけする取り組みも行われています。これも探索型といえます。カウンターを利用する顧客は、ニーズが明確な顧客が大半です。自分のニーズが分からない今の時代、カウンターの内側にいては寄り添えない顧客が増えています。だからこそ、「用事がある人はカウンターに来てください」という受身型のスタイルではなく、カウンターの外に出て顧客の言葉にならない不安やニーズに寄り添う機会を探索する行動は、非常に価値があります。

 

探索型サービスモデルを考えてみる

自社のサービスモデルを探索型に変革する場合、いつも取り上げている「事前期待の的」と「サービスプロセスモデル」の設計から見直してみてください。

事前期待の的は、探索の目標地点になります。どんな事前期待を顧客と一緒に探索したら良いのか?どんな探索アクションが最適か?この辺りを意識して議論してみると良いと思います。

サービスプロセスモデルについては、多くの場合、事前期待が明確になった“後“が設計されています。つまり、いかにして事前期待に応えるのかがプロセスモデルに描かれているのです。探索型のサービスモデルの場合、より重要になるのが「事前期待そのものを顧客と一緒に探索するプロセス」です。これをしっかりと設計することで、自社のサービス事業における探索型とは、具体的にどんな努力をすることなのかを明確に定義でき、実践とブラッシュアップが加速します。

闇雲な探索型にならないよう、是非、探索の目標地点としての事前期待の的と、探索の努力ポイントとしての探索プロセスをモデル化する議論に取り組んでみて頂けたらと思います。

 
 

※参考書籍はこちら

価値共創のサービスイノベーション実践論

日本の優れたサービス 1、2




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<筆者プロフィール>
 


 松井 拓己 (Takumi Matsui)  
 松井サービスコンサルティング  
 代表
 サービス改革コンサルタント/サービスサイエンティスト

サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業の支援実績を有する。国や自治体、業界団体の支援や外部委員も兼務。サービスに関する講演や研修、記事連載、研究会のコーディネーターも務める。岐阜県出身。株式会社ブリヂストンで事業開発プロジェクトリーダー、ワクコンサルティング株式会社の副社長およびサービス改革チームリーダーに従事した後、松井サービスコンサルティングの代表を務める。
著書:価値共創のサービスイノベーション実践論(生産性出版)、日本の優れたサービス2~6つの壁を乗り越える変革力~(生産性出版) ほか
 
▼ホームページURL/サービスサイエンスのご紹介
http://www.service-kaikaku.jp/