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【連載】CS向上を科学する

2021年10月7日

【CS向上を科学する:第98回】価値共創のサービスイノベーション実践論~「サービスモデル」で考える7つの経営革新~

 


 

松井サービスコンサルティング  
代表/
サービス改革コンサルタント  
松井 拓己  

 

 

いよいよサービスイノベーションの「構想」と「実装」の在り方を体系立てて整理した書籍、“価値共創のサービスイノベーション実践論“が発刊されます。もちろん理論だけでなく、第3回日本サービス大賞の受賞サービスを事例としてひも解くことで、実際のビジネスの最前線でどのようにしてサービスイノベーションに取り組み、実現したのかも詳しく取り上げています。
本書は、大変光栄にも、日本サービス大賞委員長の村上氏との共編著という形で取り組ませて頂き、サービスイノベーションの全体像に目線を上げて「サービスモデル」が体系化されています。また、第3回日本サービス大賞の選考委員の皆さまにも執筆のご協力をいただき、同時に受賞サービス事業者の方々には深く議論にご協力いただくことで、熱く、深く、臨場感のある内容となりました。その一端をご紹介します。
 

サービスイノベーションの全体像とは

サービスやその価値は目に見えないことが多いものです。だからと言って、それを経験やセンスに頼って革新しようとしても、思うように進まないでしょう。そこで、サービスのイノベーションがどのような構造になっているのかを、「価値共創のサービスモデル」の観点で整理したのが本書の軸になっています。
サービスイノベーションは、顧客接点・事業組織・企業経営の3領域のそれぞれで「価値共創」のサイクルを回すことで実現します。そのために、それぞれの領域を7つの要素に分解して、サービスイノベーションの全体像として体系化したものを「価値共創のサービスモデル」としています。
 

価値共創のサービスモデルの7つの要素

【顧客接点】革新的で優れた価値提案/利用価値共創の仕組み/満足度評価による事前期待形成
【事業組織】顧客からの価値発信把握/提供価値共創の仕組み/学習度評価を通した知識やスキルの蓄積
【企業経営】最適配分による付加価値共創の実現

これら7つの要素の中から、サービスイノベーションの突破口となる的を定め、そこから全体像へと結び付けていくことで、持続可能なサービスイノベーションに取り組んでいきます。本書は、そのための詳細の理論や方法論を取り上げるとともに、第3回日本サービス大賞の受賞事例を、この「価値共創のサービスモデル」の観点でひも解いて、実際の成功事例からサービスイノベーションに取り組むための学びを得ようというものです。
 

「ビジネスモデル」より「サービスモデル」が重要

ビジネスモデルとサービスモデルの違いを端的に表現すると、次のようになります。「ビジネスモデル」は、事業者を主語にして「いかに儲けを生み出すか」の設計図といえます。一方で「サービスモデル」は、顧客と事業者の双方を主語にして「いかに価値を共創するか」の設計図です。
もちろんビジネスですので、儲けを生み出すことは大切ですが、最近では、「ビジネスモデル」では他社と差が付かなくなってきたと危機感を持つ企業が増えています。加えて、ビジネスモデルを重視して「利益の最大化」や「株主還元の拡大」を最優先する経営への問題意識が高まっています。そういった企業は今、まさに「サービスモデル」を磨くことで事業の魅力と成長性を高めようとしています。
サービス事業やサービスイノベーションの成否は、「サービスモデル」の優劣で決まる時代になったと言えます。だからこそ、本書ではサービスイノベーションの全体像を「価値共創のサービスモデル」で捉えることを重要視しているというわけです。
 

サービスイノベーションを事業に「実装」する!

そして何より、「実践の論」であることが欠かせません。絵に描いた餅の構想ではなく、実ビジネスの最前線で「実践」することを念頭に置くのは当然です。そのための「論(ロジック)」であることも強調したい点です。サービスイノベーションを“まぐれ当たり”や“センス”に頼り切っていては、サービス事業は進化していきません。しかしサービスという目に見えないものを捉えた改革や変革はこれまで、どの企業でも実践可能なロジックや体系が十分ではありませんでした。そこで、当コラムで触れてきたように、サービスの本質を科学する、CS向上の本質を科学するといった形で、ロジカルにサービスやCSを捉え直してきました。そして本書では、もっと目線を上げて、サービスイノベーションの実践を体系化しています。

私はサービス改革は「心×科学」で捉えています。日本企業は「心」あるサービス経営をしている会社がたくさんあります。しかし、「心」だけでは突破できない壁があります。そこに「科学(ロジック)」が加わることで、組織的な納得感が高まり、サービスイノベーションに組織的かつ効果的に取り組むことが可能になると感じています。

ポストコロナを見据える今このタイミングで、新しい時代に向けて、サービス事業の進化を加速するような、あるいは新たなサービスを創出するような、サービスイノベーションに挑戦する企業は多いと思います。価値共創のサービスモデルを磨くチャレンジに踏み出す企業もあると思います。その思いを遂げる旅路のガイドとして本書が少しでもお役に立てば幸いです。

最後に、本書を生み出す過程でご一緒させて頂いた皆様に、心から感謝申し上げます。産業界と学術界が垣根を越えて議論をぶつけ合う、これまでの過程こそが「価値共創」そのものであったと実感しています。この価値共創で生み出された本書が、サービスイノベーションに熱心な方々の価値共創を実現する後押しになればと願っております。
 

※参考書籍はこちら

価値共創のサービスイノベーション実践論

日本の優れたサービス 1、2





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<筆者プロフィール>
 


 松井 拓己 (Takumi Matsui)  
 松井サービスコンサルティング  
 代表
 サービス改革コンサルタント/サービスサイエンティスト

サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業の支援実績を有する。国や自治体、業界団体の支援や外部委員も兼務。サービスに関する講演や研修、記事連載、研究会のコーディネーターも務める。岐阜県出身。株式会社ブリヂストンで事業開発プロジェクトリーダー、ワクコンサルティング株式会社の副社長およびサービス改革チームリーダーに従事した後、松井サービスコンサルティングの代表を務める。
著書:価値共創のサービスイノベーション実践論(生産性出版)、日本の優れたサービス2~6つの壁を乗り越える変革力~(生産性出版) ほか
 

▼ホームページURL/サービスサイエンスのご紹介
http://www.service-kaikaku.jp/