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【連載】CS向上を科学する

2020年2月5日

【CS向上を科学する:第82回】CSには種類がある~CSいまさら問題と、これからのCS~

 


 

松井サービスコンサルティング
代表/
サービス改革コンサルタント
松井 拓己

 

 

「もうCSはできているでしょ。なぜいまさらCSなの。CSはもう古い。」
こんな声が最近よく聞こえてきます。
 

CSいまさら問題

これに私は半分賛成、半分反対です。日本企業の多くは、長年CSに取り組んでいますから、従来のCSからはもう卒業して、次のレベルのCSにステージアップする時期にきている。そう捉えるべきだと思っています。CSには種類があります。「CSなら何でも良いから向上させよう」では上手くいかないのは当然です。自分達の現状のCSで十分なのか、次のレベルのCSとはどんなものなのか。自社のCSの現在地と、これからのCSへのステージアップを考える時期にある企業は多いと思います。
 

「心がけのCS」からは卒業

「CSは大事だと思いますか」「普段からCSを意識していますか」と聞かれれば、誰でも答えはYESです。会社の中にもスローガンが掲げられ、「すべてのお客様に喜んで頂こう」「感動」「幸せ」「期待を超えろ」「気付きが大事」「目指せCSナンバーワン」とキレイな言葉が並びます。つまり会社も従業員も、CSは十分に心掛けているのです。この「心がけのCS」から卒業して、ステージを上げたい企業はたくさんあります。そんな時こそ、まずはCSの本質と、CSの種類について、理解しておきたいものです。
 

事業の土台から成長ドライバーに引き上げる

CSを事業の土台として捉えている企業は少なくありません。間違っていませんが、この位置づけを変えることも大切です。事業の土台としてのCSは、傾向として「失点撲滅型CS」や「義務としてのCS」であることが多いです。当連載でも取り上げていますが、失点しないことは大切ですが、それだけで顧客がその事業を積極的に選ぶ理由にはなりません。失点撲滅型CSは、事業成果に繋がりにくいのです。現場も、「忙しくなるだけで成果が出ない」と疲弊してしまいます。
CSは事業成長や競争力強化のドライバーとして取り組むことが大切です。そのために、事業成果に強力につながるCSの種類を理解しなければなりません。これも当連載で触れましたが、成果に繋がるCSは失点をなくすのではなく、いかに得点が増やせるかという「得点型CS」です。得点なら何でも良いわけではありません。満足度の「やや満足」の実に97%の顧客がリピートや紹介にはつながらないという調査結果があります。つまり成果に繋がるのは「大満足」のみ。しかも大満足の理由にも2つ種類があります。頭で考えた理由の大満足は、「やや満足」以上に成果に繋がらないことも判明しました。つまり、心で感じて大満足だけが、成果に繋がるのです。得点型CSの中でも、「心の大満足のCS」が、事業成長や競争力強化のドライバーになる。この分岐点を心得なければならないのです。
 

自分達らしいCSでなければ意味がない

成果に繋がるCSなら何でも良いのかというと、そうではありません。やはりこだわるべきは、自分達らしいCS。すべての顧客に応えようとして闇雲になる「八方美人CS」や、他社事例ばかりを取り入れて“らしさ”が薄れてしまう「モノマネCS」では、顧客満足度が向上しても、事業の成長力や競争力は高まるどころか、低下してしまうことすらあります。

そこで大切なのが、自分達の事業において、どんなCSには価値があり、どんなCSではダメなのかをハッキリさせることです。たとえば、価格競争から抜け出す事業方針があるのに、値下げやキャンペーンでCSを高めても意味がありません。だからこそ、当連載で第1回からしつこく取り上げてきた「事前期待の的」を見定めるのです。どんな事前期待に応えるCSにしたいのか。これをとことん議論して、自分達のCSの土俵を定義することから、CSのステージアップは始まります。
 

CSはどこまでやればいいのか

「期待を超えろ」「感動サービスを目指そう」これは間違っていませんが、2つ分からないことがあります。何をやったら良いか分からない。どこまでやったら良いか分からない。まさに「心がけCS」です。
そこで、先ほどの「事前期待の的」を定義すると、何をどこまでやったら良いか、逆に何はやらなくて良いかも明確になります。「心がけのCS」では、なんでもかんでも打ち手が増えてしまいがちですが、事前期待の的を定義すれば、やらなくて良いこともハッキリするので、業務負荷も軽減するのです。このように、事前期待の的を定義することで、経営から現場までがベクトルを揃えて、納得感をもって、前向きかつ具体的で、自分達らしいCSに取り組めるのです。

さて、皆さんにとって実現したいCSとは、どんな事前期待に応えるCSでしょうか。前向きにやる気の出るCSとは、どんなCSでしょうか。どんな土俵の上で、CSを高めていきたいですか。CSには種類があります。自分達がこだわりたいのは、どんな種類のCSなのか是非、議論してみてください。
 


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<筆者プロフィール>
   


 松井 拓己 (Takumi Matsui)  
 松井サービスコンサルティング  
 代表
 サービス改革コンサルタント/サービスサイエンティスト

サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業の支援実績を有する。国や自治体、業界団体の支援や外部委員も兼務。サービスに関する講演や研修、記事連載、研究会のコーディネーターも務める。岐阜県出身。株式会社ブリヂストンで事業開発プロジェクトリーダー、ワクコンサルティング株式会社の副社長およびサービス改革チームリーダーに従事した後、松井サービスコンサルティングの代表を務める。
著書:日本の優れたサービス2~6つの壁を乗り越える変革力~(生産性出版)
         https://www.amazon.co.jp/dp/4820120905/

▼ホームページURL/サービスサイエンスのご紹介
   http://www.service-kaikaku.jp/