
| 藤沢久美 氏 シンクタンク・ソフィアバンク副代表 (300選選定委員会委員) |
松井忠三 氏 (株)良品計画 代表取締役会長 |
大西啓介 氏 (株)ナビタイムジャパン 代表取締役社長 |
藤井純一 氏 (株)北海道日本ハムファイターズ 代表取締役社長 |


藤 沢
お話を伺っていると、あっという間に時間が過ぎてしまいました。最後にみなさまに一言ずついただければと思います。生産性向上、イノベーションというのがこの「ハイ・サービス日本300選」のテーマですので、そのために必要なものは何かをみなさまからお伺いできたらと思います。

松 井
そうですね、なかなか生産性といっても指標で見にくい。わが社は基本的には「見える化」だとか「標準化」というふうにしています。例えばトップから、お店の欠品を減らそう、賞味期限の切れる商品をなくそうという指示が行きます。すると販売部門を通じて下りていきます。ただ逆に、今度はその情報が販売部門を通じて上がってくるということはないんです。
どうやって解決するかというと、毎日必ず監査室がお店を回っています。本来の監査です。それもテーマをもって行くわけです。そこで回ってきた20、30店舗の情報を監査部門と社長のミーティングの場に上げてもらいます。そこには販売本部長も呼んでありますから、すぐに手が打てます。
いま言ったように、誰に見えるかということが一番大事になるわけです。見えるとすぐ手が打てる。例えば欠品が多いという話になりますと、たいていの場合はお店が品出しを忘れているというケースが多いですから、まずそこを直す。本部の欠品だとすると発注システムに問題がありますから、自動発注の仕組みを見直すという行動に変えられるわけです。
こうした仕事は全部標準化してマニュアルに書いてありますから、ほぼこの通りやっていただくと間違いがありません。生産性を上げるのはなかなか難しいですが、わが社では「仕組み化」が一番ではないかということでやっています。

藤 沢
ありがとうございます。「見える化」「標準化」「仕組み化」というキーワードをいただきました。大西さんはいかがでしょうか?

大 西
まず、ユーザーの声に真摯に向かい合うというのは当然のことだと思います。それでこういったものをやっていこうといったときに一番気をつけているのは、情報通信事業ではインフラに合ったものを出すということが非常に大事です。特にこの携帯ナビゲーションというのは情報が非常に多いんです。
例えば、今やっているものを5年前に出しても全然受け入れられなかったでしょう。同じようなことが海外でもあって、海外は5年ぐらい前の日本と同じ状況です。今の日本と同じものを出しても通用しません。ただ日本の5年前と同じ程度のものであれば十分通用する。そういったインフラの流れをきちんと見ながら、最適なものを出すというのが大事なことです。
私が今まで会社を経営していくなかで一番気にかけていたのは、社員が一体感を持ってビジョンに向かって行くということです。われわれが会社を設立したときは5人しか社員がいなかったのですが、ナビゲーションの技術で世界のデファクトを目指しました。
この考え方に共感した社員だけが入社してきます。通常、中途採用ですと技術スペックにあった人を採用するという会社が多いと思いますが、われわれはそういったやり方ではなく、開発言語、C言語、Javaがとりあえずできればいい。あとはこのビジョンに共感して一緒にやりたいという人、お互い目の輝きがあった人だけを採用してきました。
そうすると結果的に50人に1人しか入ろうという気持ちにならないんです。それぐらいの平均でやってきた成果もあって、社員同士は非常にコミュニケーションが取れている。社内の環境も、パーティションで区切らずにコミュニケーションをきちんと取れるようにしています。IT産業といってもやはり人と人とのコミュニケーションが合わさっていいものができてきますので、そういった環境づくりを日頃からやっているというのも一つのポイントかと思います。

藤 沢
なるほど。ありがとうございます。いま社員は何人ぐらいですか?
大 西
250人います。

藤 沢
50人に1人で、250人にするのは大変だったでしょうね。

大 西
大変です。今でも面接は毎日やっています。

藤 沢
ありがとうございます。藤井さんはいかがでしょうか?

藤 井
そうですね、やはりお二人方が申し上げられた通りです。まず社内のコミュニケーションというのは非常に大切にしております。それからファイターズの理念、フィロソフィーは、全員が必ず共有するということを大切にしています。
もう一つはファンを非常に大切にする。これは徹底的にしておりまして、ここがうちの死活線かなというぐらいファンを大事にしています。そのためには、いかにファンの「見える化」をするかというところに注力をしております。
ファンのみなさま方の気持ちが分かるようになりますと、非常にサービスレベルも上がってきますし、当然「IT化」やいろんなことで「標準化」という話も出てきます。そういう意味では非常に連動した形で動いているというところでございます。


藤 沢
ありがとうございました。短い時間ではありましたが、お話を伺っていて、やはり生産性をアップするための一つのキーワードは「見える化」ではないかと思いました。
そしてその「見える化」の基本がやはりコミュニケーションであり、そして「リアル」という言葉が大事であると感じました。リアルタイムに見ていますか、リアルにコミュニケーションしていますか、リアルの人間がチェックをしていますか、リアルに感じていますか。非常にリアルという言葉の大切さ、このネットの時代だからこそなのかもしれませんが、大切なキーワードとして教えていただいたような気がします。
3人の方々には貴重なお話をいただきました。ぜひみなさま大きな拍手をいただければと思います。ご静聴ありがとうございました。
