
| 藤沢久美 氏 シンクタンク・ソフィアバンク副代表 (300選選定委員会委員) |
松井忠三 氏 (株)良品計画 代表取締役会長 |
大西啓介 氏 (株)ナビタイムジャパン 代表取締役社長 |
藤井純一 氏 (株)北海道日本ハムファイターズ 代表取締役社長 |

藤 沢
みなさま、おはようございます。1時間という限られた時間ですが、第1回、第2回の表彰を受けられた3社の経営者の方々からいろいろなヒントをいただきたいと思っています。まずは株式会社良品計画の松井会長、よろしくお願いします。

松 井
良品計画の松井でございます。私どものコンセプトは「わけあって安い」です。例えばティッシュペーパーは外箱と内箱を分けて販売したり、布団も側生地は自由に買っていただくということで、中だけのヌード布団を売っています。百貨店のクオリティを7掛けぐらいで売りたいと思っています。安くするのですが、その理由をはっきり出したいということで、素材の見直し、工程の点検、包装の簡略化などをやってまいりました。

海外展開は少し違っています。私どもは日本文化の奥深いところからスタートしていますから、洗練されている、革新的、モダン、こんなふうにヨーロッパの方では評価されています。
そうはいいましても、私どもは(西友のPBブランドとして)1980年にできまして、実は2000年に大きなショックを受けています。2001年度の中間期に38億円の赤字を出し、ほとんど利益が出ないという経験をしました。そのとき、ブランドの見直しをいたしました。
例えば「WORLD MUJI」というコンセプトですと、インド、イタリア、あるいはドイツで生まれたら、どういう無印になるだろうというところからブランドを磨き直して、それから順調に業績が戻ってきました。私どもの特色の一つは1店舗1店舗、確実に黒字にしていこうということです。それまでは一度に50店つくって200億円を売ろうとしたのですが、そこから大きく方向を転換しました。
以前は海外の百貨店と組んだこともありましたが、海外ではコンディションがずいぶん違いますので、今はほとんど直営店中心、ほぼ100%出資でやっています。かなり難しい中国も100%出資です。
昨年は北京に3店舗出しました。ヨーロッパの場合はこちらからお願いして出店を決めましたが、どうもうまくいかない。したがって北京の出店は、全部相手から話が来るまで待っていました。その代わり、出たときにはきちんとしたパフォーマンスを出していかなくてはなりません。
昨年はトルコにも出店しました。現在、海外の店舗数がちょうど100、約二百数十億円の売上です。流通業ですから何とか総売上の2割は海外で上げたい。そうしますと約2,000億円程度ですから400億円です。こんなことを目標にやっているわけです。

藤 沢
ありがとうございます。すごいですね。相手からのオファーを待って、頼まれたら出るというのは、そこまでブランドが浸透したことの証拠だと思います。
続きまして、株式会社ナビタイムジャパン大西社長にお話を伺います。お願いいたします。
大 西
私自身、大学時代から経路検索という研究を23年間続けております。この研究を元に約10年前から経路検索を使ったナビゲーションを行い、2001年からは携帯電話のナビゲーション「NAVITIME」、あるいは「EZナビウォーク」をサービスしています。われわれはあくまでも経路検索エンジン、この機能と技術の差別化を元に、その上で成り立つ事業展開だけを行っております。
「NAVITIME」で一番よく使われるのが歩行者用のナビゲーションサービス「トータルナビ」です。これは歩行者用ですが、カーナビにも使えます。人は車に乗ったり、電車に乗ったり、飛行機に乗ったり、バスに乗ったりと、さまざまな移動手段を使います。この「人」にターゲットを絞ったナビゲーションが「トータルナビ」です。乗換検索は駅から駅のナビゲーションですが、トータルナビは場所から場所になります。
サービスは、みなさまの今持たれている携帯電話すべてでご利用いただけます。最初の1カ月間は無料でお試しできますので、使わなければ解約していただいてかまいません。苦情がある場合はメールをいただければ、その声をきちんと聞き入れて改良していきます。リアルタイムのユーザーの声が聞けるというのが、改良に改良を重ねてきた一番のポイントかと思います。

ナビタイムは、全世界33カ国でサービスを提供していますが、これは日本語と現地語の両方でナビゲーションが可能です。通常メーカーの海外進出といいますと、現地法人や現地拠点という話になりますが、ナビタイムのサーバーは全部日本にあります。日本から海底ケーブル経由で全世界にサービスを行う。開発もすべて日本で行っていますので、最新の技術で最新のきめ細やかなサービスを全世界に提供できます。しかもユーザーの声は全世界からメールで届く。この辺が携帯電話、インターネットのいいところだと思います。

藤 沢
ありがとうございます。データは全部足で集められたのですか?

大 西
基本的に世の中にある良いデータは使わせていただくというコンセプトです。ただ、世の中にまだないものは自分たちでつくるしかない。ユーザーにとって非常に利便性が上がるというものであれば、社員が歩いてデータを収集します。海外も社員が乗換車両とか駅出口を歩いて集めています。

藤 沢
その背景にはお一人お一人の大変なご努力があるということがよく分かりました。ありがとうございます。
お待たせいたしました。3人目の方でいらっしゃいます。株式会社北海道日本ハムファイターズの藤井社長です。よろしくお願いいたします。
藤 井
いつもお世話になります、藤井でございます。ファイターズは2004年に東京では難しいというので札幌に移りましたが、そのときに今までと違ったビジネススタイルを取ろうと考えました。これは野球界全体にいえることですが、経営を親会社というスポンサーに頼っています。われわれは北海道日本ハムファイターズになったとき、ファイターズの企業価値はいくらかという金額をコミットメントいたしまして、その金額の中でどう自立経営をしていくかを考えました。
われわれの活動指針は「Fan Service 1st」、まずファンを大事にしましょう、ということです。私が社長に就任した当時、ヒルマン監督と新庄選手という非常にラッキーな2人がおりました。この2人はファンサービスをよくやってくれました。新庄見たさ、そして次はダルビッシュ見たさということでお客さまに来ていただいたというところから始まったという感じがします。
札幌ドームでの北海道日本ハムファイターズの試合は55%が女性のお客さまです。男の方は奥さまに連れられて来ている。お母さんのおかげで、巨人ファンだったお父さんをみんなファイターズファンに変えてくれたという状況でございます。

それから、ベースボールアカデミーというチームが、全道を回って小中学生に野球を教えています。幼稚園には、われわれのキャラクターのB・Bが訪問して、子どもたちに愛してもらっています。選手の名前はしょっちゅう変わるのでよく分からないという方もいらっしゃいますが、このB・Bは選手よりも有名です。
お客さまの心理をつかみたいという点では、昨年から2次元バーコードを導入しております。本年からは携帯でチケットを購入してもらうとポイントがどんどん付きます。ポイントでチケットに交換してもらったり、グッズを買ってもらったりというサービスも始めております。
ファンサービスとリピーターを増やしたいということで、ファンクラブには非常に力を入れております。ファンクラブは、昨年7万6千人まで達しまして、今年は8万5千人を目標でいこうと思っています。3,000円を払っていただいて、継続すればするほど優位になってくる、ロイヤリティが上がるという仕組みを取っております。

藤 沢
ありがとうございました。私が一番驚いたのは球場に来ている55%が女性だということです。
本当に野球を変えられましたね。
藤 井
そうですね。北海道の人には怒られますが、新・野球ファンと思っています。北海道の場合は女性が非常に多いものですから、女性関係のイベントがございましたら、ぜひともファイターズでやっていただければと思います。
