開会あいさつ

牛尾治朗 牛尾治朗
ウシオ電機(株)代表取締役会長
サービス産業生産性協議会代表幹事
(財)日本生産性本部?会長

サービス産業に対する生産性の向上とイノベーションを求めて

今日は、サービス産業生産性協議会「SPRINGシンポジウム2009」に早朝から多数ご参加くださいまして、誠にありがとうございます。この協議会は、サービス産業に対する生産性の向上とイノベーションを求めて2年前に発足いたしました。

これまでサービス産業は、ものづくりに比べて生産性が低く、近代化されていないといわれてまいりました。しかし、実はサービス業の実態というのは、最も新しい時代を象徴する現象の分野なのです。いま問題となっている正規雇用と非正規雇用でも、サービス産業は製造業に比べて、はるかに非正規の従業員が多い分野です。

これから5年先はどうなるかと申しますと、私は正規・非正規という発想そのものが変わってくる、労働経済は非常に多様化して、さまざまな種類の労働形態が、分野別に3、4種類共生する時代がくるだろうと思っております。

かつてアルビン・トフラーが「プロシューマー」という言葉をつくりました。ものをつくるプロデューサー(生産者)とそれを使うコンシューマー(消費者)が一緒になる時代がくるとトフラーは予言しましたが、それからおよそ30年を経た今の世は、完全にプロシューマーの時代となっています。一人のなかに両者が混在している時代が押し寄せてきている。世界のなかでも特に日本にはそういう傾向があります。したがいまして、2年か3年後に日本がどういう形で生き延びていくかということを、多くのアジアの諸国は参考にしようと見守っています。もはやアメリカン・ウェイ・オブ・ライフを選択できないアジア人にとって、ジャパン・クールといわれる日本人の生き方こそが、いちばん選択しやすい進歩の形であると考えている人が増えてきているのです。

今日は、この間に学習してまいりました、サービス産業の供給者側から見たサービス業の諸問題点をみなさんにご報告いたします。サービスに対する評価というのは、そのときにいいか悪いかというだけで形に残らない、非常に難しいところがあります。そこでサービス業を担っている会社のなかから優れた300社を選び、これがサービス業の成功している例であると示すことが一番分かりやすいのではないかと考え、今日ご出席の野村総研の村上輝康さんを委員長として、1年半前からその作業を開始しました。

このあと31社の表彰を行いますが、それで合計139社、あと1年半で300社にするつもりでおります。その内容を見ますと、同じような仕事でも、こんなやり方をするとこんなに効率よくできるのかと非常に驚かされます。しかし、経営者のなかには、びっくりさせるのが目的ではないので、自分のノウハウは公表したくないという方も多くおられます。それも尊重すべきであるとは思いますが、その一方で、自分の地域ではもうこの方法論は充分確保されているのだから、どんどん皆に知らせたい、という方もたくさんいらっしゃるわけです。うれしいことに、「ハイ・サービス日本ベスト300選」に選ばれるような会社の社長さんというのは、10人のうち7人ぐらいは話すのが好きで、弁舌さわやかな方が多い。これもわれわれにとっては有益な資産であります。そのなかには、とても日本的な特徴をもって成功した会社もあるし、世界中を席巻して成功した会社もあって、多種多様です。今日はこの表彰式が終わってから、新たに「300選クラブ」をつくろうかという話も出ているようであります。

私のようなメーカー出身者が、なぜこの協議会の会長を務めているのかとよく聞かれます。しかし結局のところ、われわれはソリューションを売っている。これもまた、非常に大きなサービスの一つです。そういう点ではみなさまともども、私も新しいサービス産業に挑戦している一員であります。

おそらく今後は、ものづくりの約半分は、技術指導によって賃金の安い国でつくることになるでしょう。しかしサービスだけは、日本人独特の力をもった、日本人でなければできないものが山ほどあります。日本はサービス立国が将来の大きな目標となるに違いありません。そうしたある面での日本の進むべき道について、このサービス産業生産性協議会は、みなさまのご意見を聞きつつ、全力を通じて一歩一歩、駒を進めたいと思っております。今日を機会に万全のご協力を心からお願いして、私のあいさつに代えたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

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