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イベントレポート(~2014年度)

2010年6月3日

<2010.5.13開催>中国サービスビジネス研究会~中国進出企業のベストプラクティスに学ぶ~第2回研究会

5月13日(木)に開催された本研究会は、グローバル・サービス・フォーラムにご参加頂いた皆様からの声をもとに、中国進出を果たしている日本のサービス産業のベストプラクティスを共有し、ご参加者相互の「知の共有」を促進するとともに、中国市場での成功のポイントを模索することを目的としています。
 

『中国におけるパートナー選択の重要性』
 
第2回研究会では、株式会社ファミリーマート 執行役員 AFC事業本部 海外事業部長の藤森正美 氏から、「ファミリーマートの中国戦略~パートナー選びの重要性~」をテーマにお話頂きました。 
 
ファミリーマートは、1988 年から台湾を足がかりに、韓国、タイ、上海、アメリカ、広州、蘇州、ベトナムへと事業展開しています。日本国内ではコンビニエンスストアの店舗数は 45,000店に達し、国内市場は約8割を大手チェーンが占め、少子高齢化による国内市場の成長の限界も予見されています。

このため同社では、今後の成長戦略の原動力を海外展開に求め、アジア・アメリカの環太平洋地域に出店を進めるというパン・パシフィック構想を進めてきました。2010年3月末時点で、海外店舗数は8,183店を数え、全店舗数の51.5%を占めるまでに至っています。
 

順調な海外展開を行ってきたように見えるファミリーマートですが、事業が拡大するにつれて、その課題も顕在化してきました。藤森さんからは6つの課題(異文化理解、相互理解、インフラ構築、商習慣の相違、人材育成、啓蒙活動)、およびその対策についてお話を頂きました。

ファミリーマートは中国沿海部を中心に375店舗(2010年3月末時点)を展開しています。中国での事業展開には、台湾ファミリーマートで蓄積したノウハウを存分に発揮する一方、中国食品最大手の頂新グループをパートナーとして選択し、インフラ面の不安や外資規制の関門などを解消しています。今後は頂新グループのチェーン展開力をバックに沿海部だけでなく、華北、東北地域にも出店を推進していく計画です。
 

ファミリーマートは現在開催されている上海万博にも6店舗を出店しています。

中国では日本からの製造技術支援によるオリジナルのパンシリーズである「元気パン」や現地の嗜好を加味した「中国版おでん」など中国独自の商品開発も行っています。また、中国の顧客のライフスタイルに合った店舗モデルの創造として、高級コーヒーマシンの設置や世界最長の路線を持つ上海地下鉄の駅への出店など斬新な中国戦略の展開を行っているとのことでした。

 
第2回研究会のメインテーマである『パートナー選びの重要性』については、「目的をもち、強み・弱みを把握した上で、現地に精通したパートナーを選ぶことが不可欠である」との指摘がありました。その上で、台湾における成功事例や中国におけるパートナーとして頂新グループを選択した理由についてもお話頂きました。
 
米山茂美 武蔵大学経済学部教授のコーディネートにより、ファミリーマートの中国進出のケースをもとに参加者間での意見交換を経て、海外展開時のパートナー選択という観点を中心に、藤森さんへの質疑応答、活発な議論が交わされました。
 
藤森さんからは、中国でのパートナーとして頂新グループを選んだ理由に加えて、「中国やベトナムなどでは、大手企業であっても、日本では簡単に把握できる売上高すら推定するしかない場合がある。そのような環境下での意思決定プロセスにおいては、相手方のトップと率直に話し合い、時間をかけてお互いを理解することが最も重要」など、忌憚のないお話を頂戴しました。
 
 第2回研究会のまとめとして、米山コーディネーターから
 
● 合弁会社設立の際の出資比率は重要な問題と考えがち。ファミリーマートの事例からもよくわかるように、それが必ずしも成功要因ではなく、むしろパートナーとの調整、信頼関係の構築がより重要。

● 最初から完璧なパートナーを選ぶことは非常に難しい。ファミリーマートが台湾で最初の500店を達成するのに9年を要したように、パートナー選択においては試行錯誤を通じた学習が最も重要。
 
などが問題提起され、第2回研究会は閉幕しました。
 
第3回以降の研究会では、米山コーディネーターとともに、中国における「人材戦略」、「市場戦略」などをメインテーマとして、中国におけるサービス産業展開のキーポイントを探っていきます。