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開催レポート

2014年4月25日

<2014.4.18開催>SPRINGシンポジウム2014 「JCSI2013年度結果報告」

 青山学院大学 経営学部 教授 小野譲司 氏

こんにちは。青山学院大学の小野です。私は現在、JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index: 日本版顧客満足度指数)調査のアカデミックアドバイザリーグループ主査を務めております。JCSIには2007年の開発から現在に至るまで、委員長である法政大学の小川先生らと携わっています。本日は、以下3点について皆さんにご紹介したいと思います。

 
1.   2013年度結果報告
JCSIは、日本最大級の調査対象とサンプル数を収集する顧客満足度指数調査として、年間のべ13万人の回答者、約400の企業・ブランドを調査しています。満足度だけでなく、ディライト(感動)、失望指数などもとっています。
 
(JCSIの概要と詳細はこちらをご覧ください)
(2013年度JCSI結果まとめは、プレスリリース資料をご覧ください)
 
まず、JCSIでは、日本のサービスのエクセレンス(卓越さ)を、以下をポイントにそって見ています。
  1. 日本のサービスをデータとロジックで説明するための、業界横断的な指標。
  2. 顧客視点でサービスの卓越さを測るとともに(知覚品質)、心理状態を多面的に探る(顧客期待、満足、他者への推奨、ロイヤリティ)。ホテルやレストランで馴染みの“格付け”でも、知名度やイメージを測ったブランドランキングとも違う。
  3. 卓越さに見合う、顧客と企業にとってのコスト負担という観点(企業=生産性、顧客=コストパフォーマンス、など)
  4. 日本のサービスエクセレンス観は偏っていないか、どのようなエクセレンスのフロンティアがあるかを探る(多面的な指標でみた各ブランドの特徴は何か、価値の源泉はどこにあるのか、など)
JCSIの主要指標は、顧客期待、知覚品質、知覚価値、顧客満足、推奨意向、ロイヤリティ(再購買意図)の6つで示されます。調査対象となる企業ないしブランドは、例えば、日経BP社のブランド・ジャパンの上位に挙がってくるようなものもありますが、むしろ、一般には広く知られていないブランドもJCSIでは上位に登場する点が例年の特徴です。横串に見ると、業界によって顧客満足度の裾野の幅がかなり違うことが特徴です(下図参照)。2013年度は、従来調査していた業種に加え、検索サービス、コンテンツ配信、SNSといった、ユーザーが無料で使えるインターネットサービスも調査対象に加わりました。結果的には、日米で展開されているインターネットサービスについては、ACSI(The American Customer Satisfaction Index)と似通った結果が出ています。
 
 
業種・業態別の顧客満足度分布(2013年度)
 
 
JCSIの因果モデル(下図参照)では、パス係数が1に近づくほど、その関係性が高いことを表しています。ここ数年、全業種の傾向として、「知覚品質→顧客満足」へのパス係数よりも、「知覚価値→顧客満足」へのパス係数のほうが総体的に強くなっています。これは、ユーザーの評価がおしなべてコストパフォーマンスの高さを重視していることを意味しています。

 

【JCSIの因果モデル(因果関係のイメージ図)】

 

 
2.   主要市場における2009—2013年度のJCSI推移
【コンビニエンスストア】
JCSIが本格的に始まった2009年度から2013年度まで5年間の推移を、いくつかの特徴的な動きがあった業種・業態にしぼってご報告します。コンビニエンスストアは、2011年あたりから顧客期待が業界全体で徐々に上がり、各チェーンの商品開発やサービスの向上により、知覚品質や満足度も上昇している様子が見て取れます。しかしながら、その後、2012、2013年度あたりで、知覚品質と顧客満足度のスコアが伸び悩み、中には下降しているチェーンも見られます。一方、セブン-イレブン・ジャパンは、この業界のリーダー企業として引き続き、高い評価を得続けています。
 
【ファストフード】
ファストフードは、2012、2013年あたりから業界全体として顧客満足度が下がりはじめています。なかでも、特に下降傾向が大きいのが日本マクドナルドで、業績不振が顕著になった以前から、その兆候が顧客満足度に表れています。ACSIでは、財務成果、とくに株価との関連性を検証する研究が蓄積されていますが、JCSIでも、顧客満足度と業績にどのような関連性があるか、データが経年で蓄積されてきたことで研究の可能性が開かれてきました。
 
【コーヒーチェーン】
大手の喫茶・コーヒーチェーンは、毎年順位が入れ替わるため、順位だけみると変化が激しい業界のように見えますが、顧客満足度の推移をみると、実はあまり大きな変化がないばかりか、どのブランドもほとんど同じ水準の満足度を獲得しています。違いがあるとすれば、顧客満足を生み出す要因であり、各チェーンで強みが異なります。例えば、スターバックスは知覚品質のスコアは業界一高い水準にありますが、コストパフォーマンス(知覚価値)の評価は低いまま推移しています。逆に、2013年度の顧客満足度1位のカフェ・ベローチェはその逆で、コストパフォーマンスが高く評価されています。
 
【携帯電話キャリア】
携帯電話キャリアは、業界全体として、他業界に比べて相対的に顧客満足度が低い位置にあります。これは、対象とする顧客の裾野が広く、顧客数も極端に大きいため、異質な顧客ニーズに対応するのが困難なことも一因となっていると思われます。スマートフォンという新しいデバイスに世代交代が起こった5年間で、顧客満足度がどう推移したかを振り返ると、とくに、NTTドコモのスコアが低下した点が挙げられます。
 
【国内線航空】
経営破綻からの再建努力が財務業績だけでなく、利用者の評価にも着実につながっていることが日本航空の満足度の推移からも読み取れ、確実に上位企業にキャッチアップしています。また、2012年から調査しているLCC(Low Cost
Carrier)の中には、離発着の定時性や欠航率などから評価が低いこともありました。ジェットスター・ジャパンのスコアは、それが改善された2013年には急上昇しています。
 
【ビジネスホテル】
宿泊特化型のビジネスホテルが成長し続けるこの業界は、次々と新しいサービスを訴求するホテルへの顧客評価が高まり、上位ブランドが入れ替わる競争が展開されています。2009年当時、コストパフォーマンス(知覚価値)の高さを背景に、顧客満足度が最も高かったスーパーホテルに代わって、リッチモンドホテル、ドーミーイン、そしてコンフォートホテルなどが台頭しています。その一方、昔からあるホテルの満足度が落ちている傾向があるのに加えて、シティホテルもこの競争の渦の中に巻き込まれている様子が読み取れます。
 
 
3.   スマート・エクセレンスの台頭
ここまで、日本のサービス業における主だったブランドを経験した顧客がそれぞれをどのように評価しているかを概観しました。最後に、これらの特徴や傾向から、日本のサービスにどのような変化が起きているかについて、「スマート・エクセレンス」というキーワードを用いて考えたいと思います。スマート・エクセレンスとは、特定の機能やサービスに絞って高品質化を図りながら、低コストや低価格を実現するサービスの市場ポジションをさしています。
 
(スマート・エクセレンスについての詳細は、下記文献をご覧ください)
小野譲司(2014)「スマート・エクセレンス:焦点化と共創を通した顧客戦略」『一橋ビジネスレビュー:』第61巻4号、小野譲司(2014)「スマート・エクセレンスの顧客観」『Business Insight』2014年近刊号 http://riam.jp/letterzine/
 
 
以上