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SPRING幹事より

2014年3月11日

東京大学大学院 工学系研究科 教授 橋本 和仁 氏 (SPRING副代表幹事)

提言「観光産業を中心としたサービス産業の活性化に向けて」

皆さま、こんにちは。私は、サービス産業生産性協議会の副代表幹事を仰せつかっておりますが、本職は東京大学の工学部の化学の教授です。双方全く関係ない分野ですが、色々な経緯がありまして、着任に至っております。私は政府の産業競争力会議の議員もしておりますので、今日のお話はまず、前半は今政府の動きがどうなっているのか、後半はタイトルのとおり「活性化」に向けた考えについて、お話しさせていただこうと思います。また申し上げましたとおり、サービス産業については専門外でありますので、「顧客」の観点から意見を述べたいと思います。

 

今現在の政府の取り組み 

今政府では、皆さんよくご存じのとおりアベノミクス三本の矢で、大胆な金融緩和、機動的な財政出動、(財政諮問会議が所管)と民間投資を喚起する成長戦略があり、後者について私が参加しております産業競争力会議で議論しています。これは、ちょうど一年前に発足しましたが、その成果として昨年6月14日に「日本再興戦略」が出されました。今までと何が違うかというと、それは「実行すること」です。この再興戦略の中に、「サービス産業生産性協議会を国民運動として再構築することとし」という文章があります。これは極めて特異なことです。当協議会は国の組織ではありませんが、国の大きな戦略の中に固有名詞として入っていて、協議会を使って国のサービス産業を活性化させるということが明記されているのです。このほか再興戦略の中に、地域の活性化についてどういうことが書かれているかをご紹介し、またこれをどう実行するのかについてもご紹介させていただこうと思います。

 

日本再興戦略 ―Japan is back―

平成25年6月14日 閣議決定 

3つのアクションプラン

  • 日本産業再興プラン
  • 戦略市場創造プラン
  • 国際展開戦略

 

東北経済産業局長・守本憲弘様からもお話しがありましたとおり、今の政権においては、とにかくこの成果を東京都下だけでなく、日本の隅々まで広がるようにと、強く議論されております。日本産業再興プランの中に「地域のリソースの活用」「地域資源の発掘・結集・連携」「ビジネスブランド化を図る」が書かれています。このキーワードは是非認識しておいていただきたいと思います。国の政策は結局、規制改革または規制緩和をするという方法、あるいはお金をつける・法律をつくるということしか出来ないので、これをどうやって考え、地域に果実の実として生ませようとするか、ということが戦略として見えてきます。また、戦略市場創造プランの中には、「世界を惹きつける地域資源で稼ぐ地域社会の実現」が書かれています。戦略分野の一つは農業問題に取り組むということです。これは両刃の剣ですので、失敗すると大変なことになります。逆に言うと、ここには非常に力を入れることができます。世界に冠たる高品質の豊かな食農社会において、一次・二次・三次産業を含めた六次産業化ができるということで、今後10年間進めることになります。政権が代わればどうなるかというご心配もあるかもしれませんが、一度大きな正しい流れをつくってしまえば、当然次の政権も引き継いでくれるだろうという思いで、いろんなヒントが隠されております。それから、日本再興戦略の中で地域に絡んだキーワードを選ぶと、「観光資源等のポテンシャルを活かす」「世界の多くの人々を地域呼び込む社会」「トータルな日本ブランドを確立する」です。 

さて、それを実行するために、産業競争力強化法という法律が昨年12月の国会で成立し、今年の1月20日に施行されました。その中で地域の活性化のことが法律上書かれております。1月20日に産業競争力会議が開催され、この法律に則った実行計画がつくられ、24日に閣議決定されました。具体的には、小さなことですが商標の登録などを進めていく、外国人旅行客の滞在環境を改善するなどで、これに対して必ず動くことが書かれています。 

ここまでは、今決まったことです。さらに、中小企業・小規模事業者の活性化のため地域資源の発掘・ブランド化を図るということで、今後の検討方針が出されました。これから5月くらいまでにかけて、それを伸ばすためにどういうことをやるか、会議で決めます。「様々な地域資源を活用して、サービス産業の生産性向上を図る」「東京オリンピック・パラリンピックの開催を好機として、外国人観光客の長期滞在を可能とすべく、観光目的の方が滞在期間を最長1年とする制度を今年夏までに案を上げる」等々のことを詰めていきます。さらに、農水産業の成長については非常に大きなイシューですので、これからは六次産業化に加えて「輸出拡大」が大きなキーワードになります。 

以上のことが今政府で行われている中から、地域の活性化あるいはサービス産業に関わる重要事項として取り上げたものです。

 

提言

ここから先、私が出す2つのキーワードは、「国際化」と「農林水産業」です。本日のテーマに即して考えますと、外国人観光客の誘致に向けては、国としては大きな法律条項を予算も含めて変えていくということと、農業の独自産業化です。これらについて国の方向性に合わせて何をやっていったらいいのか、私なりの視点で申し上げます。 

まずは観光客誘致について。昨日の日経新聞では、「東京オリンピックに向けて旅館・ホテルの5割が期待」とあります。日本中が期待をしているわけです。私はサイエンティストですので、世界中あちこち行きますし世界中に友人がいます。彼らが日本に対してどういうイメージで見ているかというと、だいたい「安全で清潔」「異文化」「富士山」「京都」ときます。何が言いたいかというと、海外から日本を見たときに、多くの人が同じように感じるということです。日本というのは自分たちと違い不思議な国なので、日本全体が同じに見えるのです。しかし、我々はよく分かっています。日本というのは、ものすごく違った色がある地域の集合体だと。これをまず理解していただく必要があります。そうすると、その地域特性をどうやって売り出していくのかが極めて重要になります。異文化というのは強みにもなるし弱みにもなるわけで、風景がよくて温泉があって食べ物が美味しいということだけではダメなのでしょう。だから、もうひと工夫が必要です。 

私なりの提案はまず、「地域毎の特色プラス外国文化との融合・体験」です。例えば、山形県に将棋の駒をつくっている街があります。将棋とチェスは似ていますが、将棋の方が難易度が高いということが分かっています。そこで、チェスの国際大会をそこでやり、「日本型チェスのくに」という特色をつけるのです。こういったことを他の都市でも街でもやるのです。他にも、使えるものとしては日本酒です。フランス人から言えば、日本酒はワインよりもっとバラエティがあります。この良さを出さない方法はないのではないかと思います。それから、温泉卓球(スリッパでやる卓球)も日本ならではです。申し上げたいのは、「外国人でも受け入れられる我が街の魅力」を皆で考えるということが重要だと思うのです。私も研究室で学生にこう言います。「皆が全力で考えましょう」と。皆が良いアイデアを出す必要はないのです。1割出してくれれば十分です。5千人の街で2%考えられれば100人。その100のうちの2%でアイデアが2個出る・・・というふうに。皆で自分の街と海外文化を比較したときに、どういうものがあるかということを考えていくことが必要なのではないかと思います。 

日本にはいろんな地域資源がありますが、これをうまく変えて売り出した時に、東京オリンピックに来てくれた人が、来てそこで終わりではなくなります。リピーターをつくらなければなりません。そこで地域を結ぶことが重要になるのです。国内をネットワーク化し、お互いをどんどん宣伝することにより、リピーターを増やすのです。そこで提案の2つ目は、「地域のネットワーク化を進めよう」です。農業と企業はどんどん結びついています。そこでサービス産業を入れて、農水産業の高付加価値化をするに加え、観光産業をもうひとひねりするということが手になります。例えば、海外への日本食スキルの売り込みです。観光産業と高付加価値化した農林水産物を一緒にして積極的に売り出していくということができるのではないでしょうか。

 

以上により、本日のテーマ「観光産業を中心としたサービス産業の活性化に向けて」に対しまして、国の動きと連動して、「1.地域ブランドの創生」(皆が考えてつくっていくのだということ)と、「2.全国的ネットワーク化による海外力」、「3.第1次産業・第2次産業との協業」この3つを私なりの提言として、国の大きな成長と東北地方のサービス産業の活性化につながれればと思いをこめて、終わりの言葉とさせていただきます。 

ご清聴、ありがとうございました。

(以上) 

  

橋本 和仁 氏・談

2013年2月21日開催 SPRINGシンポジウムin東北 講演録