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SPRING幹事より

2014年1月21日

フューチャーアーキテクト株式会社 代表取締役会長兼社長 金丸 恭文 氏

~経営者は戦略的なIT投資を~

サービス産業を含む日本企業の生産性が低い要因の一つに、経営者の総花的な経営資源配分がある。その結果、同質的な過当競争が起こり、過当競争に勝つためのコストダウンが繰り返され、企業は収益を悪化させてきた。

そうした企業の経営者は、早めに自社の事業の取捨選択を行い、将来性が見込めない事業からは早めに撤退し、より利益率の高いビジネスモデルに変えるか、他の企業に事業を売却するなど経営を移管すべきだ。すべての産業において、事業や企業の新陳代謝がもっと促進される必要がある。

ITをうまく活用している日本企業はあまりにも少ない。日本の経営者はITをコストとしてとらえており、戦略的な投資という概念がない。欧米企業は、ROIが期待できる戦略分野には積極的にIT投資を行う。日本が世界に誇れるITの活用例は、現状ではコンビニの単品管理や宅配便の配送システムぐらいしかない。

企業で起こっている事象を、ITを活用してリアルタイムに把握し、その特徴や傾向を見出すことができれば、他社に先行して迅速な意思決定ができる。日本では、IT活用のPDCAサイクルがほとんど機能していない。逆に言えば、まだいくらでも生産性を向上できる余地がある。

生産性向上の成果はサービスの値下げに使うのではなく、従業員の賃金を上げることに使うべきだ。従業員は一方で消費者でもある。当社では、一人当たりの収入を増やすために、利益率を現在よりも5%上げようという考え方に変えつつある。自社の利益率は固定しておいて、人件費を下げるのではなく、もっと効率的・戦略的に経営資源を配分しなければならない。

サービス産業のグローバル化では、自社のすべてのサービスを海外展開することを前提に再検討すべきだ。グローバル化の進展によって、海外展開できるサービスのメニューは従来よりも大幅に増えている。中国に進出した日本のコンビニは、おでんのだしを和風から中華に変えることで大ヒットした。おでんは日本人だけが食べるものと思っていたかもしれないが、まずやってみることが重要だ。自らを過小評価せず、日本人が好むサービスや日本ではやっているサービスは海外でも実行してみたらいい。

サービス産業のノウハウやスキルは基本的に暗黙知だから、暗黙知を形式知やデジタルな知財に変えなければ海外展開できない。そこにITの出番がある。ノウハウを伝授するためのEラーニングや、デジタルな知財を管理するシステムの構築などが求められている。

海外展開では、リスクをとれる人材が社内に相当数必要になってくる。日本は、海外に挑戦する時代がしばらく続く。減点主義を加点主義に変えること、海外には進出できないと思っていた過去の常識を捨てること、同質ではなく異質なものを重視することが重要だ。アップルに学ぶべきは商品ではなく、壮絶なるエネルギーや、異質な人々が生み出した非常識な差別化だ。その非常識なサービスがアップルを株式時価総額1位の企業にした。

サービスイノベーションの根幹は人材のイノベーションだ。全員がイノベーティブにはなれないが、イノベーティブなアントレプレナーを数多く増やさないと全体が伸びない。アントレプレナーを育成するためには、異質なものを許容する教育や、失敗を恐れずリスクに挑戦できる風土づくりが必要だ。

 

金丸 恭文 氏(サービス産業生産性協議会幹事)・談

生産性新聞2012年9月25日号「サービスイノベーション~今後の展望~」掲載