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リーダーの声

2018年3月26日

株式会社アイグラン 代表取締役 重道 泰造 氏

利用者満足を追求する保育事業
  ~相手の立場に立てるかの追求~

 

 

当社は、認可保育園55カ所、事業所内保育園270カ所、合計339施設39都府県で展開しています。職員数はパートを含め、約2300名で運営しております。
その中で事業所内保育とは、企業や、病院、大学の職員の子どもだけを預かる保育園です。270カ所運営している事業所内保育園の多くは病院です。病院は24時間、365日動いている施設ですので、なかなか正職員として働き続けるのが難しい職場です。当社は毎日ではありませんが、24時間開いている保育園がたくさんあります。
 

事業背景
この事業のニーズが高まっているのは、今の日本の抱えている大きな問題の一つ、医師、看護師不足が挙げられます。医師も医学部も今、4割程度が女性の時代です。担い手として女性がいかに働き続けられるかは、病院の経営で非常に大きなポイントとなっています。
中山間地域では、入院ができるような病院が市内に1個だけという自治体がたくさんあります。保育園があることで、職員の方々が働き続けられることにつながり、地域を支える仕事だと思っております。
保育というと、都市部の問題だと思われますが、実は島根県の隠岐島や、香川県の小豆島でも保育園を開園しています。これらの地域では待機児童はおりませんが、保育園がないと病院が存続できない環境の中で開園しており、喜んでいただいていると思います。

全国で約2万3000カ所あるといわれる認可保育園のうち約9000カ所が公立保育園で、残りが民間となります。民間といっても運営は社会福祉法人が担っており、当社のような株式会社が運営している認可保育園は、現段階では700カ所程度、全体の3パーセントほどです。このような環境の中、株式会社だからこそ出来ること、ご利用者を顧客と捉え、保護者目線に立った、あるいは利用者目線に立ったサービスの提供が大事ではないかなと考えております。
  

 
 

利用者目線の運用~ウェブカメラ~
私が子どもを預けるならどんな保育園がいいかを考えて展開しています。当社の認可保育園ではウェブカメラといいまして、各部屋にカメラが付いています。このカメラは、携帯やパソコンから自分の子どもの様子をいつでも見られるサービスです。初めて子どもを預けた場合は心配な方もいらっしゃいます。働いている環境で、いつでもわが子を見られる安心感は、保護者の背中を押すことができると思います。また、単身赴任のお父さんが自分の子どもの様子を見ることができますし、おじいちゃん、おばあちゃんが、お孫さんの様子を見ることもできます。とても良いサービスだと思いますが、保育業界ではほとんど普及しておりません。保育園は誰のためにあるのかを考えると、利用者である子どもたちや保護者にとってあるべきだと思うので、このようなサービスを導入しています。
  

 
 

目指すは一番の応援団
食育では、当社は化学調味料を極力使いません。加工詰め冷凍食品も一切使いません。また、おやつも全て手作りで提供しており、食器はプラスチックではなく、強化磁器にしています。また、調理室自体をガラス張りにしていまして、子どもたちが廊下から作る様子を見ることができます。味覚の発達も大事なことですが、食育で大切だと思うのは、食べることに対する意欲を持つことです。子どもたちが「食べたい」と思えることは、「生きたい」と思えるからであって、「生きたい」と思えることは、生きていいのだという自己肯定感につながると思っています。そのことが、大人になったときに一歩を踏み出す勇気を持てる人になると考えています。

今は、朝が欠食の児童がとても増えています。スーパーで買った総菜を、プラスチックのお皿のまま食べさせる家庭もあると思います。「それではかわいそう」と追い詰めるのは簡単ですが、出来ないものは出来ない事情があるのです。それならば「昼食やおやつは保育園で作るから、お母さん一緒に頑張ろうね」という思いでご提供をしています。

同じように、病院内の保育園でお迎えが遅くなったときに、「あなたのお母さんはいつも遅いからかわいそうね」というのではなく、保育士として「あなたのお母さんは、人の命を守る立派な仕事をしているのだから、私と一緒に頑張って待とうね」という気持ちになってもらいたいと思います。保育園だから預かればいいという意識ではなく、一番の応援団ということを目指していきたいと思います。

 

理念実現への取り組み
当然ですが「相手の立場に立つ」ことは、働く保育士に対しても同じです。人が働くモチベーションはお給料だけではないと思うので、どう頑張れるかということを大切にしています。
まず一つは、年に1回、園長主任会議を開催しますが、大事なポイントは表彰制度です。この表彰制度は、各園から自園の取り組みをエントリーしてもらい審査をします。「相手の立場にどこまで立てるか」という当社の理念は、青森から鹿児島まで一緒でないといけません。ただ、その実現する手段は一緒ではいけないと思っています。
各地方において習わしや風習が違います。地域の旬な食材もあります。各地の栄養士が、地元の業者から調達して食事を作っています。行事の取り組みでも、例えば青森の園だとねぶた祭りを行ったり、静岡の園ではお茶摘みの体験をさせていただいたり、あるいは大学の中にも保育園がありますが、学生サークルに来ていただいて、楽器を子どもたちの前で弾いてもらったりします。広島ではお好み焼きをおやつで作ったりするというように、それぞれの違いがあることが大事です。

 

人材育成~園長塾~
また、園長塾を全国で実施しておりまして、同じ地域の中でも、離職がある園と、全く辞めずに頑張っている園があります。この離職がある園に話を聞きに行くと、大体、その園長が文句ばかり言います。反対に、全然辞めない園に行くと、本当に判を押したように「私は大したことをしてないのだけれど、職員がよく頑張ってくれているのです。社長、ぜひみんなを褒めてやってください。」と言われるのです。
辞める園で離職の理由を聞くと、大半が家庭の事情を言われます。しかし、辞めない園で家庭の事情がないのかというと、実はそんなことはありません。要はそれが根本の理由ではなく、離職のほとんどの要因は人間関係ではないかと思っています。そこで、全国何十カ所を回り、みんなと理想の園長ってどういう形だろうかとか、日頃園で頑張っていることについて自慢大会をするようにしています。4時間ぶっ続けで行うので大変疲れますが、全国を回りながら、みんなが頑張ろうという風土を作っていきたいと考えています。

 

保育士の待遇改善
これらの風土改善と同時に、給料の改善も保育業界ではとても大事なことです。実際、認可保育園は、国からの給付によって随分ご援助いただいて、本当にありがたいことだと思います。反面、事業所の保育園は、認可外保育施設に該当するので、給付対象になっておりません。その人たちを守るため、社内でプロジェクトを立ち上げ、エリアマネージャーが全事業主に値上げの交渉に行きました。決して楽な交渉ではなかったと思いますが、給与改善が随分できました。
子どもたちにとって大事なことは、明日もまた大好きな先生と一緒にいられることだと思います。そういった理念と執念を持って、より良い職場がつくれるように頑張っていきたいと考えております。

 

今後のビジョン
今後目指しているビジョンですが、まず何のためにわが社が存在しているのかという存在理由にこだわった経営を進めます。また今は何でも東京が中心の時代です。広島に本社を置きながらも、本気でやれば、全国でここまで勝負ができるということを、ぜひ示していきたいと思います。それと同時に、広島に育てていただいた恩を広島に返せたら良いなと思います。

「アイグラン」という社名に込めた意味について、「グラン」には、一つにはグランママ、母なる大地という意味で、そういった存在になりたいとの思いがあります。もう一つはグランプリ、1番を目指すという意味です。全国ランキングでいうと、現在当社は5番目ですので、1番の会社と同じ努力では絶対追い付けません。苦労を覚悟の上の目標ですけれども、それでも1番を目指していきたいと考えています。それは名誉が欲しいわけではなく、1番の会社が1番たくさんの子どもを預かる保育会社です。その会社が、相手の立場に立つことを大事に考えている会社であれば、きっと日本の役に立てると思うからです。

日本は現在、1億2700万人ぐらいの人口ですが、このままの出生率で推移すると50年後には8700万人まで減少すると言われています。現在の環境で、もっと子ども産みましょう、もっと働きましょうというのは、相反することだと思います。誰かがその間に入らないと、とうてい成り立ちません。だから私は、お母さん・お父さんにとって、一番の応援団になりたいと強く思っています。
良いと思ったらやってみて、駄目ならやめればいいし、良ければ続ければいい、違ったらやり方を変えればいいだけです。この一歩を踏み出す勇気を持ちながら、「行動こそ真実」を信条に、これからも社員と一同、頑張ってまいりたいと思います。

(「SPRINGシンポジウム 2017 in 広島」より)

 

※株式会社アイグランの「利用者満足を追求する保育事業~相手の立場に立てるかの追求~」は、第1回日本サ―ビス大賞優秀賞を受賞されました。