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経営者の声

2017年1月5日

KCJ GROUP 株式会社 代表取締役社長 住谷 栄之資 氏

「こども達の職業・社会体験施設『キッザニア』が拓くサービスの新たな地平

 

 

グローバルは異文化体験から
これまでを振り返りますと、私の企業活動は外食産業が軸となっています。大学卒業後、大手の観光会社に入り、5年目に大学の先輩に誘われ、外食を軸にした事業を立ち上げました。最初に手がけたのは、フランチャイズの権利を買い、六本木にオープンさせたケンタッキーフライドチキンです。カーネルサンダースの銅像は日本で初めて造りました。アメリカだと翌日にはなくなってしまいますが、日本ならいつまでも飾っておけます。トニー・ローマのバーベキュー・リブはアメリカで大変評判の店で、量もあり味も良く、ぜひ日本に持ってきたいと思いましたが、当時は誰にも知られておらず社内は全員反対でした。反対されればされるほどしたくなるのが私の特性で、今はバーベキューもポピュラーになり、現在も事業を続けています。スパゴはカリフォルニア・キュイジーヌで、今では当たり前になっている地産地消のレストランですが、六本木で25年ほど営業しました。外食産業の他に海外旅行の仕事、留学支援サービス、ホテル、ゴルフ場の売買も経験しました。全て初めてのことでしたが、いろいろな企業活動を通して様々な体験をし、1960年代から1980年代という高度成長時代に事業を展開でき、私の人生は運が良かったと思っています。

 

  

キッザニアとの出合い
各種事業を手がけたWDIの社長を退職して少しのんびりしようと思っていたときに、アメリカ人の友人から面白いコンセプトの事業があると紹介を受けました。本部はメキシコで、こどもが対象の職業体験、社会体験ができる施設がショッピングセンターの中にあるということで、実際に見に行きました。
私は勉強があまり好きではないこともあり運動ばかりしていました。勉強も確かに必要ですが、他にも必要なことがあるのではないかと潜在的に思っていました。日本のこども達は、受験があり、いい学校いい大学、いい会社に入るというのがまだ軸になっているように思います。しかし、人間としてあるいは社会の一員として、若いときに身に付けておかなければいけないことがたくさんあるのではないかとずっと感じていました。そのような中でキッザニアと出会い、これは日本のこども達に必要なのではないかと肌で感じ、すぐ日本への導入に取り掛かりました。前職を辞めていたので、お金はもちろん事務所もないしスタッフもいません。友達やスポンサーにコンセプトを話すと、反対をする人はいませんがお金を出すという人もいませんでした。これはもう頑張ろうという思いで、何とか2年後にオープンできました。
 

「キッザニア」が育むこども達の生きる力
キッザニアは、エデュケーションとエンターテインメントを組み合わせた造語「エデュテインメント」というコンセプトで事業を展開しています。楽しみながら学ぶという組み合わせだけではたいしたことがないように思いますが、よくよく考えてみると、すごい言葉だと思います。日本では、学ぶとか働くとなると、ふざけてはいけない、真剣にと言いますが、楽しいことはすぐに身に付きます。楽しみながら学ぶことの大切さを、このコンセプトに会ったときに感じました。
キッザニアは、約2000坪の床面積に大小のパビリオンが並ぶ街で出来ています。消防署も、警察署もあり、羽と胴体を少しカットした本物のANAさんの飛行機もあります。その中で、約100種類の職業・社会体験ができます。経済的な問題も設備に関しても全てスポンサーの提供を受け、更にはノウハウも食材も提供していただいています。例えば外食産業のモスバーガーさんは、モスバーガーさんが使っている食材で、作り方も100パーセントとは言えませんがモスバーガーさんのレシピで提供し、自分で作ったものを自分で食べてもらいます。働くとキッゾというお金を稼ぐことが出来て、それを使えるパビリオンもあります。例えばデパートで文房具等を買えば、自分で使うのか、あるいは親や友だちにあげるのかといったことも含めて、こども達は自分で稼いだものを自分で使うということを体験します。考える力、想像力、行動力、どこで体験しようか、どうやってやるのだろうか、次は何をしようか、とこども達はいろいろなことを自分で考えます。保護者の方はあまり口を挟まずにこどもが自由に過ごすことで、体験しながら学べるいい環境だと思っています。スポンサーは、オフィシャルスポンサー、オフィシャルサポーター、オフィシャルサプライヤーも入れて、東京は56社、甲子園は62社になっています。(※2016年12月末日現在)

 

  

KCJ GROUP の新たな事業展開
キッザニアの他にも、関連事業を展開しています。山形県でイタリアンレストランを営む奥田政行シェフと一緒に農園レストランを運営しています。同じ場所ではベーカリーレストランとともに、ファームウェディングも実施しています。また縁あって、南相馬ソーラー・アグリパークで2000枚のソーラーパネルを張り、発電事業も行っています。そこでは、こども達にソーラーパネルだけではなく、ミニチュアの水力発電で仕組みを学ぶなど、いろいろな方法で電気ができることを体験してもらっています。その他に、アカデミープログラムということで人材教育も行い、次世代の育成としてキッザニアがこども達の成長にどう役に立つのかを大学の先生と共同研究しています。こどもだけでなく企業からもいろいろな形で研修に来られています。
地域活性化事業への協力では、街ごとキッザニアということで地方の都市にキッザニアのコンセプトを持ち込んでいます。2014年から3年連続で三条市、2013年・2016年には柏市で、2015年からは三重県とも行っています。その地にあるいろいろなものづくりを地元のこども達が来て体験するということで、大変好評でした。地方創生が話題ですが、高度成長時代の地方の大きな仕事は誘致することだったと思いますが、これからは現場で地方の人たちが自分たちで何かをしようという考え方、努力が一番求められているのではないかと、私自身の経験からも感じています。
 

グローバル時代の Key wordはsocial
最近はテロの脅威も大きな話題になっていますが、250年前まではほとんどが農業で、蒸気機関車が発明されるまでは、いわゆる科学技術はなかったといわれています。その後、電話、自動車、電球、飛行機、家電、テレビ、いろいろなものが開発され、最近では、コンピューターの発明とSNSの登場です。138億年前に宇宙誕生、46億年前が地球誕生、20万年前が人類誕生で、今の科学技術の進歩は、まばたきのまの字もないくらいの時間軸で発展しているものだと思います。この間に多くの発明がされて人類がうまくコントロールしているように見えますが、これからはどうなるでしょうか。このような発明がなぜ起きたのかの原点を考えてみました。結局、人間の本能は、楽をしたいのです。大量に物を運びたいということで、蒸気機関車が発明されました。電話は、身内、友だち、遠くにいる人と話がしたい、連絡を取りたいという欲望からです。自動車は、楽をして好きな所に行きたい背景があって発明されたのではないでしょうか。

私が今、皆さんに何が欲しいかを質問したら、家も車も家電も多分想像できるものは何でも持っているかと思います。物理的には欲しいものが行き詰まっている中、今、こども達に必要なのは「人間力」です。いろいろな知識、あるいは考えることも必要ですが、体力も知力も五感も必要です。思いやりやコミュニケーション力、人と関わっていくための基本的な力、そんな「人間力」を養っていくことが、これからは大切なことだと考えています。その中で日常心掛けていたいのはソーシャルです。ソーシャル、すなわちネットワーク、さらに言えばコミュニティーという考え方が基本に必要です。科学技術を否定はしませんが、そればかりが先行して人間の存在を自分で窮屈なものにしていっているような気がします。人との関わり合いを大事にするという考え方が大切だと思います。

 

  

地方創生で、各県や市からキッザニアに来てほしいと言われます。私が「皆さんでおやりになったらどうですか。大体の形は見えているので皆さんで出来ますよ。事業計画書をお持ちいただければお手伝いしますよ。」と言っても計画書が出たことは一度もありません。地元の人が本気になってやるかどうかが問われます。いろいろな事業に共通しますが、情報ばかりをたくさん持つだけでなく、最初の一歩が大事だと思っています。
数多くの情報に接する中で、皆さんが感じていること考えていることは、私は正しいと思います。あとは実行ではないでしょうか。自分が考えているのだから大したことではないと思いがちですが、そうではありません。答えは、皆さん方がお持ちです。ですから、日常の仕事の中でぜひ実行していただければと思います。

 

 
(「SPRINGシンポジウム in札幌」にて)

 

※KCJ GROUP株式会社が運営されている「こどもの職業・社会体験施設『キッザニア』」は、第1回日本サ―ビス大賞優秀賞(SPRING賞)を受賞されました。